利用者が多いから使いやすいとは、限らない。【No.021】
システムコンサルタントの長谷川です。
ある企業が使い始めた、有名なインターネット上の有料サービスがあります。
※ちなみに、私が導入をオススメしたものでは、ありません!
サービスを提供している会社のホームページを拝見すると、聞いたことのある企業の名前がズラリと記載され
「こんなに多くの企業様で採用されています!」
と、猛烈にアピールしています。
あー、あの有名企業も使ってるんだと思うと、確かに、信頼度は抜群にUPしますよね。
ですが、いざ導入してみて、そのサービスを使い始めてみると、現場の担当者から、
「とっても、使いづらいんです」 とか 「操作を間違えてしまうんです」 といった声が聞こえてきました。
ホームページには使い方までの詳細は掲載されていないので、実際にどのようなシステムなのか、見させてもらいました。
基本的には、よくできているシステムなのですが、1つ、大きな課題を見つけました。
それは、
システムの利用(使用)動線が、ユーザ視点になっていない
ということです。
生活動線って言葉、聞いたことありますか?
日常生活を、便利・快適に過ごせるように、間取りや家具の配置などが考えられている家は「生活動線がしっかりしている(よい)ね」なんて、言ったりします。
※極端に言うと、トイレに行く度に、ソファーをちょっとずらす、なんて家は、生活動線ができてない家ですね。
それと同じように、システムにも、利用(使用)動線があります。
「機能はすべてそろっている。だけど、使う順番がよく分からない。」から、先程の担当者は、使いづらさを感じたり、操作を間違ってしまっていたのです。
もちろん、担当者の操作スキルに左右される点もありますが、システムの利用(使用)動線が、もう少しユーザ視点になっていれば、こういった不便さは出なかったのではないかなと、私は分析しています。
例えば、ある作業をするために必要なステップが、1→2→3の機能だっとします。
ですが、このシステムでは、その担当者が作業したいことに対応するには、1→2→4→3という機能を使う必要がありました。
だったら、1→2→4→3の順番を1から4として把握すればよいのではと思うかもしれませんが、この4という機能が、とても「ミスをしやすい」機能だったのです。(毎回、ソファーを動かす作業みたいなもので、面倒なのです。)
多くの人は、1→2→3を使っているのかもしれませんが、システム上、1→2→4→3も必要な人がいる訳です。
だとしたら、この4という機能を、使いやすく、ミスが起こりづらいように、3の機能のオプションとして取り込むなど、使い勝手を考慮することも、できたはずです。
このような状況というのは、決して少なくありません。
ユーザからのフィードバックで、システムは改善されていく場合もありますが、それはシステム開発会社側の選択になりますので、保証はされません。
利用者全員、100%の満足度のシステムは、正直、存在しません。
かならず、改善すべきポイントというのは、見えてくるものです。
「利用者の数が多いから」といのは、システムを選択する時の1つの指標にはなりますが、決して、誰に対しても使いやすいシステムであるということではないんだな、ということも、忘れないでおいてください。